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★★ 天体写真を開始して ★★
2015年12月02日

 前回コラムで「新たに星の写真分野も始めます」と、天体写真開始の旨をお伝えしましたが、その後を記してみたい。

 今年の9月に思い立ってポータブル赤道儀と関連アクセサリーを発注したのであるが、ポータブル赤道儀本体が届いたのが、10月中旬過ぎ、関連アクセサリーが届いたのが11月上旬である。この間、星が見えれば撮影しようとしていたのであるが、夜が晴れて月もなく星が見えた日は非常に少なく、最初の機材が届いた10月半ば過ぎでは1日だけ。11月は2日だけだった。天気予報では晴れでも、薄雲がかかるとか、部分的にも雲があると、都会の光を受けて夜でも雲が白く輝くので星の撮影はできないのだ。

 赤道儀は北極星で極軸合わせを行わなければならないのであるが、我が家北の窓で極軸を合わせて南のバルコニーで撮影するパターンは、いろいろ改善し、水平(垂直)は三脚の中央ポールの横に五円玉を糸で吊るして合わせることでほぼ完ぺきとなった。また方位については、北の窓で極軸合わせをする際に、三脚の脚位置を家の壁に合わせておき、バルコニーに移動して設置する際も家の壁に合わせる方法で、ほぼ正確にすることができた。

 この時期、我が家バルコニーから撮れる天体というと、今のところ、オリオン座と昴プレアデス星団である。とりあえずこれらを撮っていろいろ撮影方法や後処理の練習をしてみた。写真をきれいに仕上げるには、複数枚撮影してパソコンソフトでコンポジット処理など色んな処理が必要であることが判った。ノイズを少なくするには、複数枚を加算平均コンポジット(ランダムノイズが平均化されて目立たなくなる)を行う。光害がひどいと無理であろうが、暗い被写体だと5分とか10分の長時間露光が必要なのだが、これでは明るい星は白飛びしてしまう。そこでダイナミックレンジを広くするために露光時間を何段階か変えてそれぞれ複数枚撮影して加算平均コンポジットし、それらに対し比較明合成、比較暗合成、加算やら減算やらの処理が必要になるらしい。このパソコン処理は筆者は得意な方なので何とかできそうである。

 練習の間はシャッターは2秒セルフタイマーを使ってきたが、機材に触れるとどうしても微妙に動いて、コマごとの位置ずれを起こすし、付きっきりでないといけない。そこで追加でインターバルタイマーコントローラー(エツミETM-83616)を購入した。これなら全く機材に触れることなく、何十枚何百枚でも自動撮影できる。また星の軌跡の星景写真も自動で撮れる。

 天体写真マニアいわく「一に天気、二に機材、三四がなくて五に知識」とのこと、筆者に言わせれば、「一に天気、二に機材、三に場所、四に処理ソフトで五に知識」と全部埋まった。一の天気は誰にも共通で正に天にまかせざるを得ない。新月期だけをとっても月のうち半分程度になり、その中で晴れるのは1日か2日となって撮影チャンスは非常に少ないことを実感した。二の機材は確かに高価な大型の天体望遠鏡や赤道儀、冷却CCDカメラが有利であるが、筆者としてはできるだけ手持ち機材で撮れる範囲で我慢することにする。というか、手持ちの貧弱な安物機材でどこまで撮れるかまずは挑戦してみたい。三の場所だが、光害の少ない場所が撮影対象によっては絶対条件にもなる。当面熟練するまでは我が家か近くの公園ということにし、チャンスがあれば光害の少ない場所で撮影することにする。四の処理ソフトであるが、筆者はこれまでPhotoshopなどを使って写真処理をしてきたので、何とかなりそう。でも凝ってくると「ステライメージ」(天体写真処理用ソフト)が欲しくなりそう。五の知識だが、これは当コラム「ウェブ学のすすめ」で書いたとおり、インターネットで勉強できる。天体写真を始めるに至ったのも「ウェブ学」である。

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