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★★ 新たに星の写真分野も始めます ★★
2015年10月25日

 ネット情報を見ていて、「ポータブル赤道儀」の購入に至ってしまった。

 筆者は当ホームページ「山写真紀行」を運営しているので、写真に興味を持っているのは当然であるが、子供の頃から星空にも興味は持っていた。手作り望遠鏡で星空を観察したりしていたのであるが、なにぶん性能の劣悪な望遠鏡であったので、星は肉眼よりはたくさんみることはできたが、「虹色がかった点の散らばり」でしか見ることは出来なかったのだ。最近になって多少は性能のよい望遠鏡や超望遠レンズを持てるようになり、日食や月食など写真にも収められるようになった。

 しかし、これが「星」となると、筆者が住むさいたま市では、都心の光害と副都心とまで呼ばれるさいたま市の光害で、快晴の夜空を見上げても数えるほどしか見えないので、星の写真を撮ろうとの意欲は殆ど沸いてこず”諦め”のみであった。

 こんな筆者にも、インターネット情報というものはいろんな働きかけをするもので、写真界でもデジタル一眼レフの普及により「星景写真」「星野写真」などは比較的簡単に撮れるようになったとのことで、美しい写真がいろんなサイトで見られるようになった。写真の講習会でも星空撮影などもよく開催されるようだ。

 そこで、光害がひどく、肉眼では殆ど星が見えない状態で試しに夜空の写真を撮ってみた。すると肉眼では見えないのにたくさんの星が写っていたのだ。ISO感度を800とか1600とし、露光時間を10秒~30秒とすると、肉眼よりもはるかに感度が良いのだ。それじゃあやってみようかと思い立った次第である。

 星景写真など広角で撮る場合でも、きれいな写真となると、光害の少ない場所で、長時間露光を必要とするようであり、長時間露光では星は流れる。狭い範囲の星野写真や星雲写真を望遠で撮るとなると30秒程度の露光でも流れてしまう。そこで必要になるのが赤道儀である。かつての大きな天体望遠鏡で使う赤道儀は大型で高価なものであったが、比較的最近ポータブル赤道儀(略して「ポタ赤」)と呼ばれるコンパクトで比較的安価な赤道儀が発売されるようになった。そしてこのポタ赤でどれを選ぼうかと探した結果、今年4月に発売されたスカイメモSに決めた。

 9月中旬にスカイメモSと必要と思われる関連アクセサリーを注文したところ、ネットショップのどこの店でも在庫が無く、納期が1ヶ月~3ヶ月となっていた。発売から半年ほど経っているのに生産が間に合わないほど売れているのだ。それだけポタ赤を欲しがる人=星の写真を撮りたい人が多いということである。納品まで待ち遠しいところであったが、この間天気が悪かったり、晴れても夜は雲があったりで、星空撮影のできそうな日はまったくなかったので、何とか待つことができた。

 10月半ばが過ぎてようやくスカイメモSの本体と微動雲台が届いた。これがあれば何とか撮影はできる。早速既存の三脚にセットし、極軸合わせの練習をしてみた。極軸を合わせるには北極星が見えないといけない。夜晴れた日に我が家2階の北側窓から北極星を探してみた。北極星がありそうな場所に星は見えない。秋だとカシオペア座から探せるはずであるが、カシオペア座も見えない。双眼鏡でみるといくつか星は見えるが、視野が狭いので、星座としてみることが出来ないのだ。上弦の半月が出ているので条件は悪い。四苦八苦でようやく北極星を見つけて極軸合わせを行った。その北極星にカメラを向けて撮ったのが下の写真だ。肉眼では見えないが、写真に撮ると、何とか「こぐま座」の形を確認できる。

 では、赤道儀を活かして南の空の星を撮ろうとしたが、我が家の南側にあるバルコニーからは北極星は見えない。仰角は北の窓から合わせたままなので三脚の水平が保たれれば合っているだろうが、北の方向が合わせられない。山用のコンパスを使ってもかなりいいかげんだ。スマホのコンパスアプリを使ってみたがこれもいいかげんでピッタリにはならない。仕方なく大体北を向いた状態でセットして撮影してみた。

 月は出ていたが、オリオン座なら明るいので何とか見えた。スカイメモSの星追尾を活かしてズームレンズの広角側で撮ったのが下の写真だ。東京方向の光害がひどく、長時間露光では真っ白に写るので、10秒だ。これでは固定撮影と変わらない。当然ながら星はちゃんと点で写る。

 次に願望であったオリオン座大星雲を撮ってみた。ズームの望遠側405mm相当だ。こちらは20秒の露光であるが、星雲らしきものが写った。だが極軸が正確に合っていないため、少し右下方向に動いている。トリミングすると見るに堪えないので、トリミングなしで上げた。追尾なしで撮ったら右上方向にもっと大きく動いたであろう。

 今回は初めてにしては、自分なりにまあまあの星雲写真が撮れた。と自己満足している。このあと満月に近づくので、しばらくは晴れても写真は撮れないだろう。条件が良くなれば、正確に極軸合わせができる場所へ出かけて、再挑戦してみたい。
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