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★★ コマツヨイグサ ★★
2015年6月29日

 つい先日、飲み会から歩いて帰る途中で、道端にたくさんの花が咲いているのを見た。暗闇ではあるが、径2-3cmの白っぽい花の群生である。筆者は野草の花に関心があるので、近隣の花の群生は大抵わかっているつもりであったので、「あれ!こんなところにこんなにたくさんの花が咲いていたかな?明日にでも写真を撮りに来よう。」と帰宅した次第である。

 早速翌日の昼過ぎにカメラを持って行ったところ、花なんて咲いていないのだ。酔って幻想でも見たのかな … と、よくよく見ると、萎れたものがいくつも見えた。あんなにたくさん咲いていたのに、花期がたった1日で終了するのはあり得ない。世の中には夜だけ咲く一夜花というのもある。

 ネットで調べてマツヨイグサの仲間であろうと見当を付けた。しかし、マツヨイグサは以前に写真に撮ったことがあり、それは確かに昼間であった。また、丈も高く1m程度はあった。結局、葉の形や草の丈、萎んだ花の色や花の大きさから「コマツヨイグサ」であろうと推測した。

 コマツヨイグサは繁殖力の強い帰化植物で、どこででも見られる。とは言っても夜しか咲かないのだから、花はよく見られるとは言えない。夜咲く花と言っても夕方には咲くだろうと、写真に撮れる明るさが残っている夕方6時頃に行ってみた。ところが蕾ばかりで、まだ咲いていなかった。確実に見るには、飲み会の帰りと同じ時間なら間違いないだろうと夜9時頃に三脚とストロボの乱反射用の白い紙を持って再度出かけた次第である。どうやらここのコマツヨイグサは環境にも依るのか完全な夜型のようである。後日朝の8時過ぎに通った時にはもう萎れていた。

 そして、撮った写真がこれである。花びらが8枚のように見えるが、ハート形の4枚である。開花したばかりなのか、花びらにしわのような凹凸があり、普通のマツヨイグサとはちょっとイメージが異なる。群生状態もわかるように離れた位置からも撮った。飲み会帰りに見たのはこれだったのだ。ストロボでは黄色く写っているが、外灯の薄明かりでは白っぽく見えたのである。

 マツヨイグサの仲間は「宵待草」で歌われたり「月見草」の異名も持つオオマツヨイグサがあるなど、ちょっとロマンチックなイメージがあるが、なぜ夜に咲くのかと言えば、蛾などの夜行性の昆虫やコウモリに花粉を運んでもらうためである。こんなことを知ってしまうとちょっと興ざめする。

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